御坂山塊西部 茶屋平、三ッ尾俣山 2010年1月31日

所要時間


 甲府盆地南西端の旧豊富村南には御坂山塊から延びる尾根が続くが、四尾連湖周辺以外は地形図に山名が書かれたピークはほとんど無い。そんな中、山名事典に茶屋平、三ッ尾俣山という山が記載されていることを知った。場所は春日山から西に続く稜線上で、大峠を挟んで東に茶屋平、西に三ッ尾俣山だ。地形図に波線が描かれているので問題なく歩けるだろう。地形図を見る限りでは大峠北側の林道が最短コースで、神社経由で峠に上がって振り分けて登るのが常識的選択だろう。

 旧市川大門市街地を抜けて林道入口を捜すのに一苦労した。案内標識が出ているはずもないので地形図を読図しながら道を選択したが、絹の里公園?東側から入る道は工事中で通行止めで、その東の集落にあるお寺の横から狭い路地に入り、登っていくと軽トラ専用のような狭いコンクリート舗装の道になり、このまま進んで大丈夫か心配になる。ますます細い道になってこりゃダメかと思ったが、突き当たってまともな舗装道路に出ることができて一安心。どうやら一番西側の道を上がっていくのが正解らしい。ただし、その道は私が上った時点では工事中で通行できなかったが。

害獣避けゲート。手で開けられる 山之神社案内看板
林道はマイカー可 4丁目登山口。施錠されたゲートあり

 果樹園地帯を過ぎると猪や鹿よけのゲートがあり、手で開閉して先に進むと神社の案内看板があった。地形図の林道はマイカー通行可能らしく、神社への波線と交差する地点に車を置けるようなので左手の未舗装林道を上っていく。ガタガタの路面だがゆっくり走れば普通車でも問題なく、左に分岐する林道(参道)の手前に駐車スペースがあったので車を置いた。メインの林道はまだ先まで車で入れるが、参道を兼ねた細く急激に登る林道は入口にゲートがあって歩いて登るしかない。といっても、かなり轍が抉れているのでこれ以上はジムニークラスの車でないと登れない。

やや荒れた林道を登る 八ヶ岳が霞んでいる
破損した丁目石は新調されていた そろそろ神社が近いか

 しばらくはこの林道をジグザグに登っていく。標高が上がると甲府盆地を見下ろすようになり、その向こう側に茅ヶ岳や八ヶ岳の姿が浮かぶ。林道はほぼ古い参道に従って作られたようでえらい細かくジグザグっており、軽自動車でも1回ではカーブを曲がりきれずに切り返しが必要そうなきついヘアピンカーブが続く。林道脇には丁目石があるが、例のごとく10丁目が終点ではないので初めて訪れる者にとっては進捗状況の参考にならない。

神社手前の建物 山之神社
大峠の案内看板 神社より先のルートは廃道化しつつあるようだ

 傾斜が緩んで建物が出てくると神社手前の肩で、その奥に小振りだが立派な神社があった。これが地形図に記載された神社で、地形図ではその先にも波線が描かれており、現地には大峠の案内標識が立っていた。しかし少し進むと人が入った気配が消え、廃道化しつつある雰囲気が漂い始めた。道は稜線上ではなく巻き始めたが、地図通りに峠まで行くのかちょっと不安なので廃道を外れて稜線上を歩いた。このエリアでこの標高だと落葉広葉樹林で藪はなくどこでも好きに歩けるので、地形を読める人間なら道に従う必要はない。

尾根上を歩いた 右から道が合流

 やがて右手から道が合流したが、落ち葉に埋もれたり倒木に邪魔されたりで、道がないところを含めて歩きやすいところを選んで歩いた方が楽だ。やがてなだらかなピークの一角に到着、この先が大峠と思われるが茶屋平へはこの辺りで北西へ下るはずなので左へと進路を変更する。地形をよく見て尾根の続きがどこなのか探すと自然林と植林の境界線が尾根直上らしい。間伐された木が横たわる尾根を下り始めると左手から道が合流、これが地形図上の波線だろうか。まあ、こいつも最近人間が歩いたような形跡は感じられず廃道化しつつあるようだ。

大峠手前から北東尾根を下る ちょっと下ると尾根が明瞭になる
茶屋平最高点 茶屋平三角点。最高点西北側にある

 道のある場所は伐採された間伐材が邪魔なので少し左にずれて歩き、鞍部から先は道が不明瞭になったので尾根を適当に登ることにした。鞍部より先では尾根南側斜面も自然林で尾根が広く、登りはいいが下りは迷わないよう要注意だ。歩きやすいところを適当につないで歩いていくと、広くなだらかな茶屋平山頂部に到着。しかし顕著なピークは無いのでGPSが無いと正確な山頂の場所は特定できないだろう。ただし、今日の山は2つとも三角点があるので山頂確認用にGPSは持ってこなかった。ここも三角点があるはずなので捜索開始、地形図をよく見ると山頂の真ん中ではなく北西にずれたところにあるようなので、そちら方面に少し寄ったところを探すと意外に短時間で発見できた。周囲に目印等はなく、葉が茂った時期では三角点を見つけるのは難しそうだ。

踏跡(廃道)に合流 760m鞍部

 次の目的地、三ッ俣尾山に向かう。大峠北の肩に戻り、神社方向に僅かに下って標高880m付近で左に下っていくと踏跡に合流、これが地形図の波線だろう。やはり最近人が歩いた雰囲気がない。稜線北側を巻きつつ下っていき、尾根に乗ると松の植林帯だ。鞍部から登りにかかると自然林に変わって道は不明瞭になるが、尾根上に藪はないので適当に登っていく。地形図では尾根上に波線が書かれているが、鞍部手前まであったような明瞭な道形は見られなかった。

尾根上に廃道は見当たらない 三ッ俣尾山近くで踏跡登場
三ッ俣尾山山頂。小ピーク 三ッ俣尾山三角点。山頂より西に下ったところにある

 この尾根は小さなアップダウンがあって最高点がどこであるかは定かではない。最初の小ピークが山頂かと思ったが三角点はなく、次の小ピークに登ると三角点は見つからなかったが手製の山頂標識が倒れた木にくくりつけられていた。あれ? 間違った場所に標識を取り付けたのだろうか。ただ、地形図ではこの一帯はなだらかな地形で、三角点が一番高い場所に埋設されているか読み取ることは不可能だ。等高線の間隔からして三角点は最高点より少し西にありそうな気配で、少し西に進むと踏跡脇に三角点があった。先ほどのピークから明らかに下っており、山頂標識のあるピークが間違いなく正しい山頂だった。

 帰りであるが、わざわざ大峠へと続く尾根に登り返してから下るのももったいないので、先ほど通過した三ッ俣尾山山頂のすぐ東のピークから北に落ちる尾根を伝い林道に下ることにした。ただし、稜線直下で等高線が混み合っており、ここが無事下れるかどうかの保証はない。まあ、崖の連続で下降可能なポイントが無いなんてことはないだろうから、ルートを選べば木に掴まりながらどうにか下れるだろう。最悪、登り返せばいい。

830m峰から北に下り始める 800m付近は急斜面
傾斜が緩む 踏跡のある小尾根が出現

 ピーク手前で稜線北側の緩やかな台地状の平坦地に下り、その先の斜面を見下ろして目的の尾根にちゃんと続いているか確認したが、どうも小さな谷の向こう側っぽいのでもう少し進んで谷の源頭を越え、斜面を下りだした。予想通りの急斜面でルートを選ばないと足を滑らせてそのまま滑落しそうで、木に掴まりつつ傾斜の少しでも緩い箇所でいい感じの間隔で木が生えたルートをつないでぐんぐん下っていく。1カ所だけ2m程度の段差があったが、木の幹や根に掴まって強引に突破する。急斜面帯は標高差にして2,30m程度で、その先は細いながら明瞭な尾根が出現し、危険地帯を突破したことを知る。薄いながら踏跡も出現した。

地形図にもあるガレ。右縁を下る やっと尾根が明瞭になる

 尾根上には境界標識の杭が打ってあり、人が入った形跡がある。地形図にもあるガレマークの箇所は踏跡が尾根を外れて右に巻いた先にあり、尾根を巻き始める箇所には木に赤ペイントで左下向きの矢印が書かれている。振り返ると尾根末端はガレですっぱり切れ落ちており、あのまま尾根を直進しても下るのは不可能だ。ここまで下れば尾根も太くなって危険箇所は無くなった。

広い尾根を下る。踏跡不明 林道に下る

 このまま尾根を辿ってもいいが少しでもショートカットしようと途中で右に進路変更して小尾根を下り始めた。ここまで下ると一面の植林帯で視界はイマイチだが藪もなく適当にルート取りできた。やがて眼下に林道が見え、法面で下れないのでは困るので自然林の谷地形の場所を選んで下り、無事に林道に降り立った。あとは土がカチカチに凍った林道を歩いて車に戻った。

 

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